2012年1月27日

『「まがたま」五周年記念アンソロジー』・・・

 

まがたま.jpg 

 「まがたま」は平成19年2月に、秋山素子が東京で創刊した季刊誌。師系は原コウ子。「自然への挨拶、人への挨拶、自分への挨拶」を掲げている。 

 その創刊五周年を記念してのアンソロジーである。主宰の秋山素子を含め各人20句とミニエッセイを収めている。部立のⅡ部では、エッセイのみの方もいらっしゃる。

 どこかでうかがったある名の方が・・と思いきや、評論家の松本道介氏だった。松本宗雄氏は、どうやら道介氏のご子息らしい。

 「勾玉、曲玉、まがたま」とは、語源は「まがりたま」のことらしい。

 それにしても、翡翠色の勾玉の神秘や魅惑にだれも勝てない?。

 瀟洒な装丁のこのアンソロジーも魅力的だ。

   雛人形飾りて待つは祖父母なり       藍原公子

   船捧げ流れ着きたり春の安曇野       青山果楠

   朝寒と言ひりんごジャム手渡せる      秋山」素子

   日雷驚き落つる岩一つ             宇山眞理子

   米研ぐはジャズのリズムで水の春      加島葉子

   石けんの泡立ち細か水温む         柏 玲子

   常のごと早起きをして雑煮食ふ       川上登美枝

   合歓の花皇后様の生家跡          黒田雅子

   年迎ふ御神木の幣真白            駒木寿美枝

   ひな鳥の巣立し後の静けさよ        小山和子

   初鰹お前はどんな海を見た          田中伸吾

   記念樹のふくらみ始む桜かな         名嶋惠子

   みどり児を抱く両手の春立ちぬ        花本智美

   むくげの芽ほのかに赤児の気配あり     松本道介 

   捩花も陸上選手も左回り            由良桃子

編集長は、本日は午後から「蘭」の40周年祝賀会に出かけている。

スタッフの松本、三東は3月号第三コーナーに差しかかっている。今日も遅くまでお仕事・・・・。老生の私はそろそろ退散・・・・。

ご自愛、ご自愛・・・・。

下の写真はA氏よりメールで送られてきたリラダンの紋章。

リラダン紋章.jpg

| コメント(0)
2012年1月26日

『現代句集』のこと・・・

現代句集vol.1

 昼にするのに、外に出ると、陽射しはあるものの、冷たい風にさらされて、けっこうな寒さである。

 通りすがりの古本屋に無造作に100円コーナーに置かれている現代日本文學体系95『現代句集』(筑摩書房)に眼が止まった。会社の仕事用に買って置くことにした。解説は山本健吉。昭和48年刊。いくらなんでも100円はないだろうと思ったが、案の定線は引いてあるし、書き込みはあるし、もし、新古書店チェーンならすぐにでもゴミ箱に捨てられる代物だった。

 ただ、小生の仕事柄、調べものに使えるし、引用句を確認し、校正にも使えるから文句はない。

 中を開いてみると、表3の見返しに「昭和49年二月六日読了  堀口太无」とあった。ということは、この句集に収められている内藤鳴雪「鳴雪句集」、尾崎放哉「大空」、富安風安「草の花」、渡邊水巴「白日」、西東三鬼「今日」、飯田龍太「童眸」、秋元不死男「万座」、石川桂郎「竹取」、野澤節子「鳳蝶」、荻原井泉水「大江」までの36名の代表的句集を読破したということだ。

 確かにその痕跡はしっかりとどめられている。たぶんだが、いいと思った句には○、◎がつき、ご丁寧にダメと思った句にも×がついている。

 おのずとこの方の好み、句の評価も知れるというものである。

 ちなみに最初の鳴雪の句で○が付いていたのは、

  暖かや君子の徳は風なれば

 であり、×が付いていたのは、

  春雨や酒を断ちたるきのふけふ

 なかなかの具眼の士かも知れない。

 さらにページを繰ると紅葉葉が栞に使われておる。朴の葉もあった。茶色に変色し、少し黴の生えているところもある。当然ながら、色染みは紙に移っている。

 大層な年期だ。

 原石鼎の句にはたくさんの×が付いている。星野立子もしかり。富澤赤黄男は○が多く、×は極端に少ない。

 この人は、一句の完成度を読んでいるのかも・・・赤黄男の×の句は、

  蛇となり水滴となる散歩かな  

 高野素十の句には、ほとんど×がない。野見山朱鳥の句には◎がいくつもある。例えば、

  蝸牛の角風吹きて曲がりけり       朱鳥

  地に触れて落花と影とぶつゝかり

  林檎むく五重の塔に刃を向けて

 篠原凡、金子兜太の句にも◎がある。

 書き込みまであって「感受性にたよる限りに於いては篠原凡に席をゆずらなければならない。ニ部、三部に於ける変化は、・・・性の深化によるもので観察からくる面白いものをもっている」と。◎の句は、

   麦車雉鳴く森へ動き出す   兜太

 森澄雄の句には◎が多い。最期の荻原井泉水の句には、×が一つもない。○と◎のみである。不思議な感じだ。◎の句は、

   ここまで水がきた話ヘソに手をあてて言う  井泉水

   ほんとうに寒かつた日が祥月命日

 筑摩書房の「現代句集」と言えば、もう一冊、現代日本文學全集91『現代俳句集』に指を屈するが、現在、手元にあるのは、145ページから再度17ページになり、161ページから始まる落丁本だ。安かったはずだが、数十年前のことなので、どこで買ったかもまったく覚えていない。この本には、かの有名な神田秀夫の「現代俳句小史」が巻末にある(昭和32年4月刊)。この卷自体は各個人のアンソロジーとなっていて鳴雪から兜太までの主要な俳人が入集している。

 今日も冷え込みの強い日だった。

 愚生、先の日曜日に持病の腎臓結石の激痛にみまわれて、体は、まだ本調子に戻っていないようだ(ブツブツ・・・)。

馬場地蔵輪.jpg

 

| コメント(2)
2012年1月25日

片野蓮『白く踊ってゐたりけり』・・

 

片野蓮句集vol.1

 句集名は「杳として白く踊つてゐたりけり」の句から。

付録というので、初学の頃、伊丹三樹彦「青玄」所属時代の句も収められている。

    眉カットして 極月のむこうみる       

    祭笛 男は濡れた背をのばし

 多趣味の人らしく、他に連歌一巻も入集している。懇切を極めた跋文は後藤昌治氏である。

 「あとがき」によると2000年に小川双々子「地表」に入会されている。いわば双々子晩年の弟子ということになるが、その師を詠んだ句、

    沈黙の土の橋なり囁囁忌

 双々子には『囁囁記』という句集もある。全句集もあるが、双々子没後、本当の意味での全句集は没後まだ刊行されてはいない。全句集の刊行が切に待たれる俳人の筆頭格と言ってもいい俳人のように思う。たぶん、本句集の上梓を師は泉下で喜ばれているにちがいない。

 「あとがき」の最期に師の言葉を掲げている。

  詩とは問い続けること

          沈黙の重みを     双々子

 しかし、片野蓮は、師と同じクリスチャンではなさそうである。岐阜県の飛騨山中の寺に生まれたとあり、かつ、現在は坊守らしい。

 ところで、

   原発の空へとつづく里神楽

 の句があるが、現在の句ではない。十年も前、山を越えると、原発銀座と呼ばれる福井県のことを思って詠んだものだいう。

 口絵・見返しの畠中光享氏画も見事、装丁の巖谷純介氏も見事な出来栄え。十分に贅沢な句集といえよう。

   鮒味噌に箸出してみる水難史

   垂直をねがひ木蓮の昏れゆくよ

   をちこちの悲と悲あつめし半夏生

   朝桜つながるいのちつなぎつつ

   大寒を固くしてゐる泥の山

   書けぬかも知れぬ日記を母に購ふ

 片野蓮句集vol.2

| コメント(0)
2012年1月24日

「角川俳句・短歌賞」・・・

角川俳句vol.1

 先日、10月20日(金)、東京會舘で第57回角川俳句賞・短歌賞の贈呈式があった。小生は垂人句会「一茶・蕪村贋作研究会」を経て、ぎりぎりで参加した。

俳句賞ではすでに話題となっているタイトル「ふくしま」永瀬十悟(ながせ・とうご)氏、短歌は高校生の「一人、教室」立花開(たちばな・はるき)氏。

    激震や水仙に飛ぶ屋根瓦       十悟

    流されてもうないはずの橋朧

    ふくしまに生まれて育ち鳥の恋

 氏は昭和28年福島県須加川市生まれ、同人誌「桔こう(木偏に皐)」同人、俳人協会会員。角谷昌子氏がお祝いに駆けつけておられた。小生は名刺を渡してご挨拶をして、名前だけは知っていますと言われて(少し、気分よく)、今後ともよろしくと言って別れた。

 一方短歌賞は所属結社なしの高校三年生で二年生頃からネットで短歌の投稿を始めた。受賞史上三番目の年少受賞にあたるという。

  君の腕はいつでも少し浅黒く染みこんでいる夏を切る風    開

  キンモクセイ香りを添付付加して送ってみたい十月の庭

 俳句賞、短歌賞では毎年思うことだけど、短歌賞の受賞者に年齢の若さである。昨年の山口優夢は若かったけれど、ほぼ、短歌賞が圧倒的に若い印象だ。

 俳句は、若者には難しいのかも知れない。いや、形式的な表現の完成度において、あきらかな差が生まれることによって、選者の眼が、未完成さを許さないのかも知れない。

角川俳句vol.2

角川俳句vol.3

| コメント(0)
2012年1月21日

「ずばり贋作くらべーー一茶・蕪村俳句研究会」・・

 

垂人vol.1201211

 昨日はけっこう忙しい一日だった。

 まずは、中西ひろ美・広瀬ちえみ「垂人」句会の、「ずばり贋作くらべーー一茶・蕪村俳句研究会」を訪ねて、東急大井町線下神明駅前の喫茶「とろんそん」での句会取材。

 喫茶店は画廊喫茶風で、仕切りの奥は10人程度の句会可能な団体席になっている。

 書棚もあって、句集,画集などが置かれている、なかなかの雰囲気・・

 贋作だから、蕪村風や一茶風の句をいかに作るかという、難しさがある。

 句会は事前に贋作で各3句の計6句がすでに出句されていた。

 選句は各自の持ち点合計10点制で、選んだ句に1点、気に入った推奨句なら、3点入れたり、5点だって入れられる。

 つまり、各1点ずつなら10句選べるし、各5点を入れてしまえば2句しか選べない、というわけだ。

 その後、互選による最高点句から、各人の講評、批評に入るが、今回は、最初に作った人の名が明かされる。さらに参考にした原句があれば、そのときに披露するのだが、原句のパロディーにならないためには、相当に難しい。

 例えば、蕪村「腰ぬけの妻うつくしき炬燵かな」は、次のように投句されていた。

    絶頂の妻たのもしき紅葉かな      佐藤榮市

 また、蕪村「宿かせと刀投げ出す吹雪哉」は、

    泊まってョと女体投げ出すふぶき哉    與起

 一茶では「目出度さもちう位なりおらが春」は、

   目出度さも酎くらいやなあわいのの春   渡辺隆夫

 もちろん、原句ではなく、蕪村調、一茶調を我が物とすべく努力して、原句のない句も提出されていた。

   友禅の手よりなはるゝ春の川      鈴木純一

 といった具合・・。

 詳細の句会レポートは、4月号に間に合うように中西ひろ美さんに頼んできた。

 中座した小生は、角川俳句賞・短歌賞の新年会に東京會舘へと向かった。

垂人vol.1201212

 

| コメント(2)