2011年3月 3日

桃の節句・雛節句(ひなのせっく)

桃の節句・雛節句

「五節句の一つで、三月三日の雛祭のことをいう。陰暦によると、丁度桃の花の咲く頃であるし、桃花を挿して雛に供え桃花酒を酌みなどするので、特に桃の節句、桃花節、桃の日などと称するのである。菊花節などというよりも、鄙びて優しく聞こえ、桃源なども連想され、伸びやかな感じがする」と改造社版『俳諧歳時記・春之部』(昭和22年刊)には季題解説として載っている。また、合せて「古書校註」のコーナーで俳諧指南書歳時記・北村季吟撰『山之井』に、「けふは曲水宴のまねびといひて、桃の花と柳の枝を銚子・瓶子などにつけつゝ、人にもこのさゝをもり内祝ひにも用ふ。是を俳諧には、桃の酒といひ伝へぬ」とある。「さゝをもり」は酒盛り。

例句には、つぎのような句が載っている。

  節句明けてはまぐり煮出す障子哉       鬼貫(俳諧七車)

  桃の日や蟹は美人に笑はるゝ          嵐雪(玄峰集)

  桃の日や下部酒もる蒸鰈             白雄(白雄句集)

  桃の日や雛なき家の冷じき           机菫(井家集)

例句の出典がいちいち記してあるところなど、現代の歳時記には見られない親切というものである。しかも、古い歳時記の校注も入って、単なる季語収集以上の楽しみがある一書だ。ただし、索引は付いていないので、季語が掲載されている項目を目次で探し出さなくてはいけない。桃の節句は春之部・人事。

現代俳人の句から、

  ひなあそび十津川渓谷白光塵(びゃっこうじん)    夏石番矢

  寂庵に雛の間あり泊まりけり              黒田杏子

  老人の遠きしはぶき雛飾る               藤岡筑邨

雛壇の写真は先だっての有馬朗人文化勲章を祝う会会場の帝国ホテルで。

 

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