2011年5月12日

兜太ばかりがなぜもてる?

兜太ばかりがなぜもてる

 本誌2009年10月号の特集のキャッチフレーズが「兜太ばかりがなぜもてる?」だった。俳壇ではますます兜太一人勝ちの人気である。小誌昨年9月号の「俳句で120歳まで長生き!」と合わせて、俳壇限定流行語大賞?の感があったと自画自賛を許していただきたい・・・。金子兜太については、俳壇のみならず、高齢の著名人のなかで、人気は日野原重明に次ぐといっても嘘にはならないマルチなもてようである。

とにかく、言いたい事を素直に発言し、それが、なかなか真実を突いているものだから、世の人気者になっているのであろう。つい先日も、編集部宛に『悩むことはない』(文藝春秋社)の本が届けられた。帯には「『抱き合いなさい』九十一歳の自由人、溢れ出るいのちの言葉」とある。

三橋敏雄もそうだったが、この世代の人には、自分の感じたことのみが頼り、そして、どこかで時流に流されない少数派が好き、というところがある。戦争で生死を分けて、生き残ったという体験からきているのかも知れない。南島の遺骨収集の話のなかで、「樹木がしっかり繁ったところの遺骨は収集すべきではない。そのままやすらかにしておきたい。けれども硫黄島のような岩石の固まりみたいな島。これは話が別だ」と述べた件に「菅直人のことを、おおぜいが寄ってたかってぶっ叩いているから、私は逆に弁護したい。やつは先般、硫黄島に行きましたね。帰ってから『遺骨収集を国の仕事にしたい』と言っておりました。あれは立派な即物的行為だと思う」と続けている。

そういえば先日、菅首相の浜岡原発停止の英断も立派だった。まだまだ見捨てたもんじゃない。この伝で頑張ってもらいたい。すべての核(原子力)には、日本だけでなく、地球、人類の未来がかかっているのだから。

ともあれ、この本の最後の章「戦争と俳句」も圧巻の内容だった。

 よく眠る夢の枯野が青むまで     兜太

この句は、芭蕉の句を念頭において詠んだ句で「俺はあんたのように悩まないよ」ということらしい。

小誌8月号では、その兜太に「兜太自身の全て、俳人・俳句史」についてインタビューし、掲載する予定である。必読、乞うご期待!

ブロンズ

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