2011年8月 5日

栗林浩『続々 俳人探訪』・・

続々 俳人探訪

栗林浩は帯に「今度の続々俳人探訪』では、攝津幸彦と田中裕明を対比的に書き、寺田京子については札幌時代の親友であった「萬緑」の古参俳人に訊いた。佐藤鬼房と神尾彩史はそれぞれご長女と面談し、親しく父親の思い出を聞き取ることができた。本書はこれらの方々の俳句への理解と暖かい協力で成り立っている」と記している。

本著の特質は、何といっても、最初の『俳人探訪』以来、対象俳人とその関係者への取材や調査によって、それぞれの俳人の像や人生を描きだすという点において変わることがない、ということである。第一冊のラインナップからすれば、俳壇的にはマイナーポエットに傾いてきているが、実はそれだけ,未知の魅力に溢れてきているともいえる。

本著では神生彩史と片山桃史、野村秋介あたりだろうか。とりわけ、新右翼の重要な人物であった野村秋介に筆が及んだのは異色である。

実は小生は二十年近く前、野村秋介に俳句作品を依頼したことがある。その時、「私は俳人じゃないから、原稿料はいらない」と言われたことを覚えている。確か『銀河蒼茫』という獄中句集を出されたばかりのことだったと思う。

本著にも載っているが、

   俺に是非を説くな激しき雪が好き     秋介

思い出深いといえば、田中裕明と攝津幸彦である。双方とも夭逝であって、小生は田中裕明の訃報を聞いたときに「先に攝津幸彦を失い、いま田中裕明を失った」と思った。何しろ、同時代を生きてきて、ともに次代を担う俳人だったからである。

神生彩史は、もちろん塚本邦雄の『百句燦々』の、

   貞操や柱にかくれかがやけり    彩史

を忘れがたく覚えているのだ。

馬場の花

| コメント(0)

コメントする