2011年8月24日

延寿寺富美『大旦』・・・

大旦

 句集名は、

   大旦神は海よりきたりけり       富美

補陀落渡海の説からいけば、南海上に観世音菩薩が住んでいるわけだが、この句では、遙かの海から神が訪れるというのである。それも元旦、大旦に。

   母の手を離し春泥飛び越えし

この句集一巻に子どもの句があふれているのは序文で師の伊藤通明の記しているところだ。

掲句の手を離し、春泥を飛び越えていった主人公は誰だろう。子どもであろうか。あるいは作者自らが自分の少しは老いた母の手を離したのであろうか?

両様に読めるが、味わいは違ってくる。「幸せな人の幸せな句集」(序文)から想像すると子どもであろう。

とはいえ、中には、

   会ふことの叶はず蛍も見にゆかず

 の嘆きもないわけではない。

もっとも、

   すぐに母に替はられ父の日の電話

のように、ちょっぴりな不満も、幸せに違いないスナップとして詠まれている。

   サイダーになだめられたる程の鬱

サイダーほどの鬱だから、たいした鬱ではない。

 いずれ、

   ふるさとの花野は空へつづきけり

   どの山も雲従へて夏休み

の風景にたどりつくことができる。

高麗神社vol.2

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