2012年1月17日

矢島康吉『古本茶話』・・・

 

古本亀.jpg

  『古本茶話』(平成20年小社刊)は、現在小誌「俳句界」に連載中の「筝漏れ亭日常」の矢島康吉氏の著書である。洒脱な文に、俳句界読者のファンも多いと思われる。古本茶話と題するくらいだから、冒頭から神田神保町である。それによると康吉氏の父上は古本屋をしていた。

 愚生の勤め先は高田の馬場の馬場口交差点の角にあるので、坂を下って早稲田方面に行くと古本屋街である。

 従って、短い昼休みはその店の一、二の百円コーナーを流すだけでもあっと言う間に終ってしまう。それを昼休みの散歩と称しているのだが、愚生はただ時間つぶしに歩いているようなものだが、康吉氏はそのレベルにはない。

 古本代として、5万円ばかりを懐に入れて、昼はビールに蕎麦か鰻重、神保町の喫茶「さぼうる」でコーヒーを飲み、文銭堂の地下であんみつ、日が暮れれば焼き鳥屋で杯を傾けて、「山の上ホテル」401号に泊まって、翌日もまた古書会館の即売会へ、というから半端ではない。

 愚生は、同じ蕎麦でも立ち食い蕎麦に100円コーナーとはこれ如何に・・・。丸三文庫の100円コーナーを尻目に恐る恐る狭い階段を登って、眼に入ったのが出久根達郎『逢わばや見ばや』、さすがに100円とはいかないが、好きな出久根なのではたいた(500円だったけど)。出久根達郎は高円寺で古書店「芳雅堂」をやっていた。本書の題は「恋ひしとよゆかしとよ、逢はばや見ばや見ばや見えばや」からのものらしい。しかも、近年の注釈書は過激で、「『ゆかし』は『好きよ、好き好き』、『逢はばや』は、『お会いしたいわ』、『見ばや』は、『だいて欲しいわ』、『見えばや』は、『わたしのすべてをあげたいわ』、となるのだそうである。もっとも宴席で遊女が歌った歌だからそうかもしれないと補足をして、さすがに困惑の態なのである。

 それでも、欲しくてたまらない古書に出会うというのは、そういう気持ちらしい。

 お後はまたの機会に・・・。

つばき.jpg

| コメント(0)

コメントする