2012年1月25日

片野蓮『白く踊ってゐたりけり』・・

 

片野蓮句集vol.1

 句集名は「杳として白く踊つてゐたりけり」の句から。

付録というので、初学の頃、伊丹三樹彦「青玄」所属時代の句も収められている。

    眉カットして 極月のむこうみる       

    祭笛 男は濡れた背をのばし

 多趣味の人らしく、他に連歌一巻も入集している。懇切を極めた跋文は後藤昌治氏である。

 「あとがき」によると2000年に小川双々子「地表」に入会されている。いわば双々子晩年の弟子ということになるが、その師を詠んだ句、

    沈黙の土の橋なり囁囁忌

 双々子には『囁囁記』という句集もある。全句集もあるが、双々子没後、本当の意味での全句集は没後まだ刊行されてはいない。全句集の刊行が切に待たれる俳人の筆頭格と言ってもいい俳人のように思う。たぶん、本句集の上梓を師は泉下で喜ばれているにちがいない。

 「あとがき」の最期に師の言葉を掲げている。

  詩とは問い続けること

          沈黙の重みを     双々子

 しかし、片野蓮は、師と同じクリスチャンではなさそうである。岐阜県の飛騨山中の寺に生まれたとあり、かつ、現在は坊守らしい。

 ところで、

   原発の空へとつづく里神楽

 の句があるが、現在の句ではない。十年も前、山を越えると、原発銀座と呼ばれる福井県のことを思って詠んだものだいう。

 口絵・見返しの畠中光享氏画も見事、装丁の巖谷純介氏も見事な出来栄え。十分に贅沢な句集といえよう。

   鮒味噌に箸出してみる水難史

   垂直をねがひ木蓮の昏れゆくよ

   をちこちの悲と悲あつめし半夏生

   朝桜つながるいのちつなぎつつ

   大寒を固くしてゐる泥の山

   書けぬかも知れぬ日記を母に購ふ

 片野蓮句集vol.2

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コメント(2)

  

時ならぬ春の雪に、身をこごめながら 思いがけないプレゼントに心ホカホカと温まりました。
限られた言葉なのに 奥行き深く思いがしのばれる。

私にまでお届けくださったこと、感謝しています。

忍べトヤ葛ノ葉カゲニ葛ノ花

読み終えて気になる一句でした。

あなたのお手紙に触れて、私も5月の出席を考え始めました。
久しぶりにお目にかかって、お話しできるのを楽しみにしています。
春とは名ばかりの昨日今日、御身お大切に。

おやすみなさい。     飛騨高山 大洞 美季

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