2012年2月20日

潜入!題詠句会・・・

農工大 題詠句会vol.1202201

 昨日(2月19日・日)、杉並区勤労福祉会館で行われた筑紫磐井主宰の「題詠句会」に行った。これまで、すでに三回行われていたらしいが、会議室の椅子の席数以上(定員)は、お断りの会である。とはいうものの、病に倒れて、欠席される方もいた。

 題詠句会は、もとははといえば、明治の世に、子規が行っていた句会で、まさに、そのときと同じ題で、現在の俳人と勝負させようというもの。当時の句会の出席者の役を振り当てられての小芝居をするのも、その興趣のうちなのである。

 今回の題は「冬川」と「霰」で「霰」の題詠については、なるべく「や」「かな」を使って下さい、という注文もついての、10句持参である。

 句などあまり作らぬ愚生にとっては、一年分にも相当しようかという句数である。しかも、磐井氏はその清記稿のなかに、つまり、「〈発句始〉明治29年1月3日午後、上根岸85 、子規催、会スルモノハ、鳴雪、鴎外、瓢亭、漱石、虚子、可全、碧梧桐。第三回運座」という、錚々たるメンバーの句も入っての互選10句を行うのだ。

 後から分ることだが、当時の第三回運座の最高の合計獲得点は子規8点、因みに最低は鴎外の2点だった。句は、今回の句会でも2点が入っているのが(不思議に時代を超えてしまった)、子規の・・

   湖の氷にはぢく霰かな       子規

 他には、(今回無点も含む)

   面白う霰降るなり鉢叩       虚子

   菜畑の次第上がりに霰かな    碧梧桐

   雨に雪霰となつて寒念仏      漱石

   思いきつて出て立つ門の霰かな   鴎外

 ともあれ、愚生を含む当日題詠の高点句からいくつか紹介しておこう。

  アルミ箔しゃらんと切って霰かな     美和子

  霰まだ霰のかたちかな旗日        澄子

  夜の霰スーツケースの車輪鳴る      瑠那

  霰降ることが嬉しき銀座かな       葉子

  落書きの古い言葉や冬の川       文香

  右岸より左岸に人が冬の川        磐井

  枯川や又誰か来て笛を吹く        紗希

  夕霰ナップザックに葱さして         燐

  冬の川そこが地球の切取線        冬眞

  冬川の土手にカフェーの案内板      心

  雪吊りの紐をくぐれる霰かな         美美

  冬の川室生の屋根もけむりたり       夕紀

  初あられ夕あられかな玉あられ       恒行

 それにしても、改造社版『俳諧歳時記』(昭和23年刊)で「霰」「冬川」の項をみると、現在の歳時記と違って、それぞれに70句近い例句があるところをみると、相当に詠まれていたということだろう。今、わたしたちの現在では「霰」も、まして「冬川」など、まことに少ない数しか詠まれていない。題詠ででもなければたぶん詠まないだろう。

 もっとも、紛れ込まされていた、虚子や、漱石の句がさすがに高点になることはなかった(やはり、時代の感性はあるようです)。

 最期に、明治43年8月26日、子規宅と、同12月8日の碧梧桐庵の句会資料で、それぞれの役どころを与えられた句評によると、碧梧桐、癖三酔、四方太など、例えば「袴着や寒紅梅の花衣」の句に就いて「寒紅梅の花衣」という調子もしまってよい、とか「また、俳句界にも調子というものがあって、とか調子の上にとか、調子でそれを面白くするとか、句の批評にやたら〈調子〉ということが出てくると、磐井氏は指摘し、〈写生〉などということが一言も発しられていないと報告していた。

農工大 題詠句会vol.1202202

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