2012年2月21日

ほかいびと~伊那の井月~・・・

ほかいびと井月vol.1202211

 昨夜(20日)は、「ほかいびと~伊那の井月~」マスコミ向け試写会というのに出かけた。

 東京公開の一般上映開始は3月24日(土)~4月6日(金)、ポレポレ東中野(JR東中野駅側)、上映時間は1時間59分。

 試写会では、上映に先立って北村皆雄監督から簡単な挨拶があり、「単なる、伊那賛歌、井月賛歌におわらないようにしたつもり・・」とのことで、その意図は果たされていると思える映画だった。

 約2時間の映画は、愚生のような年寄りには、ちときつかったが、退屈もせずに観通せたのは、それだけで、この映画がの力を思うことができよう。

 主演の田中泯の舞踊の力も、映像として、邪魔にならず、よく生かされていたと思う(愚生の年代にとっては、大昔に属することがだ、田中泯は、あくまで舞踏家?・・)。音楽は良し。音楽にもくらい愚生だが、一柳慧という名くらいは知っている。字は書家の石川九楊。

 ドキュメント&フィクションという惹句のように、この映画の有り様をよく言い当てていると思った。

 「ほかいびと」とは「寿・祝人」と書くらしい。広辞苑には「乞児」(ほがいびと)-人の門戸に立ち寿言(ほがいごと)を唱えて回る芸人。物もらい。こじき。万葉集「乞食者(ほかいびと)の詠(うた)」とある。

 『井月全集』(全一巻)は、長野県伊那市の「井上井月顕彰会」から復刻増補改訂版(下島薫・高津才次郎編)が出ている。その跋を大正十年十月二日の記をしるして芥川龍之介が書いており、巻頭には井月賛の句が、虚子他5句を掲げている。

    丈高きをとこなりけん木枯に      虚子

    秋涼し惟然の後に惟然あり      鳴雪

    露けさを米貰はずに帰られし     鼠骨

    空がはれゆき日影さす雲       碧童

   

 映画の場面、場面でも多くの句がちりばめられている。

   降るとまで人には見せて花曇       井月

   睦じう込合って居る蚕かな

   声あらば如何に蚕の起休み

   数ならぬ身も招かれて花の宿

   根を包む紙を貰ふや花菫

   命ぞと云うては掬ふ清水かな

   雪車(そり)に乗りしこともありしを笹粽

   玉苗や乙女が脛(はぎ)の美しき

   よき酒のある噂なり冬の梅

   妻持ちしことも有りしを着衣始(きそはじめ)

 辞世は、

   何処やらに隺(たづ)の声きく霞かな

 ともあれ、映画は井月を描きながら、横糸に明治という時代を、暴動をも生んだ秩父、近代と現代を交差させながら、社会が包容力を欠いていく現在にも視線が届いていると思われる仕上がりだった。

ほかいびと井月vol.1202212

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コメント(2)

  

筆者様
記事をありがとうございました。
きれいなデザインのHPですね。
ご丁寧に批評いただきました。
ただ、文中の舞踏家という表記は、田中泯さんが拒否されており、彼の希望に従い舞踊家にしました。
彼の公式ホームページにもそう書いてあったと思います。
ともあれ、多くの方に見ていただきたいと思っております。
ほかいびと監督 北村皆雄

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