2012年3月28日

「麻」3月号・・・

「麻」3月号

 小社に送られてくる結社誌から、びっくり仰天の「麻」を取り上げたい。

 「麻」(主宰・嶋田麻紀・つくば市)では、もともと「芭蕉革命ー芭蕉キリシタン類族説への道」という長期連載(すでに111章)が松浦敬親氏の連載があって、無学な愚生には活字を追うだけで精一杯のところがあるのだが、この3月号には、氏が「黙示の松」と題して232句一挙掲載をされているのだ。実に一つの句集が収められていると言っていいものだが、ましてやすべてが大震災を詠んだ句なのである。題の「黙示の松」は復興の象徴とされている陸前高田の松のことである。

 巻頭の句は「註・陸前高田市の高田松原。岩手県の南東端にある」と詞書が句の後に付されている、

    春眠や七万本の松の楯         敬親

二句目は、これも註書きに(『旧約聖書』創世記第7章。ノアの箱舟)とあって、

    杖振つてノアが沖指す春の夢

こうして、多くの註が付されて句が展開されていく。 

タイトルは次の句からだろう。

    一本の松を黙示に奮ひ立つ 

黙示は黙示録の略だろうと思う。ならば神の国の到来と地上の王国の滅亡を幻想してもいいだろう。

    核蛇が穴出ればもう黙示録

 この句の註には「炉心本体の爆発ではないが、溶融した核燃料は悪魔の龍へ」とある。

    神ほとけなく被災して目刺食ふ

かつて小林多喜二が虐殺されたとき、多喜二の母は、祈りながらも「神も仏もない」と神に怒り嘆い

た。

   除塩九度種を余せる田植かな

         (註・平地の田は全滅)

   血涙の陽の橋を架け盆の波

   無原罪ならば聖書は聖胎祭

         (註・マリアが母の胎内に宿った日、無原罪とされる。12月8日)

   津波忌や舐めて塩つぱき海の水

         (註・東日本大震災の犠牲者を追悼して)

  ほかにも「東日本大津波大震災」特集(麻ではとくに大震災をこう規定しているようだ)で、エッセイ・坂本多津子「宮古に帰省して」、北川霞洋「ふるさと富岡町」など、誌として3.11以後を地道に表現することを積み重ねられている。    

「麻」3月号vol.2

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