2012年8月31日

大串若竹句集『風鈴』・・・

大串若竹句集『風鈴』vol.1

 『風鈴』は、『邯鄲』に次ぐ著者の第二句集。

 古稀を記念しての句集である。従って、発行日は著者の誕生日の9月7日となっている。

 第一句集は句歴50年(平成19年)を記念して上梓されたというから、いまや句歴は55年のベテラン俳人である。

 それでも、明確に、俳句に対して志を立てられたのは、平成7年、「百鳥」(主宰・大串章)に入会されることによってらしい。句姿はいい。

 句集名は次の句からである。

     風鈴の百の音色の一つ選る     若竹

 松内佳子の懇切な跋文によると、「句集名そのままの心和むような一巻である。中でも孫誕生とその成長に注ぐ若竹さんの慈愛に満ちた作品の数々は、『風鈴』の主旋律となって一巻を貫いているようだ」と記されている。

 確かに、

    万緑や子はせがむtき身を揺する

 には、その佳汁は疑うべくもないが、そればかりでなく、次掲の句などには、柔らかいばかりでなく、しなやかにして、感受の見事さをみせている。

    春めくや雫のやうな耳飾り

    蛤を売る釣銭の水びたし

    美しく老いうつくしき花を見に

    口あけて顔のなくなる燕の子

    薬飲むための水飲む敗戦日   

 また、巻頭の句、

   黒々と山赤々と初日の出

 も捨てがたい句だ。その他のいくつかの印象深い句を最後に上げさせていただこう。

   父よりもたくましくなり耕せる

   筆まめな父の無口や白秋忌

   弁当を広ぐれば花飛んでくる

   捕はるる隠しカメラに蜘蛛の囲に

8月31日の花vol.1

 閑話休題・・・

   そういえば、大串章主宰の句集『山河』に、若竹氏の第一句集『邯鄲』に、まるで挨拶されたような一句を発見した。

   邯鄲の声を一会の絆とす      

 同句集には、ちょっと変わった、自らを励ますような愛唱の句もある・・

   法師蝉鳴くこれからだこれからだ

 

8月31日の花vol.2

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