2012年10月 2日

髙橋亜紀彦句集『闌春』・・・

『闌春』

 句集名は次の巻末の句から、

     いづくかで母闌春に憩ふらむ     亜紀彦

句集扉には「景子へ、亡き母へ」の献辞がある。

景子は、亜紀彦氏の妻、田付賢一氏が懇切な序文に「お二人は『偕老同穴』」と記しておられるが、

むしろ、それ以上の深い関係ではないかとも思われる。

跋の五十嵐秀彦氏も愛情に溢れた、救いを求める心情を述べておられる。

   炉心溶融して桜咲にけり

   敗戦忌あとは余生と云ひし父

   八月へ「きけわだつみのこえ」再読す

などの社会的なまなざしの句も意外と多くある。

しかし、ここでは、月と星の句を挙げてみたい。

   三日月に腰掛けたいな二人して

   火宅かも知れぬ吾が家を照らす月

   星たちが梢揺らせば秋の声

   三日月がポッケの中で光つてゐる

   星月夜秘密結社の帰り道

   犬けふは人恋しいか月を見よ

   星たちのささやき声や黄落期

   水割りのグラスに透かす春の月

   月おぼろ来世の雌雄問はれけり

   月より眺める地球も朧かしら

 「三日月がポッケの中」の句には、思わず、稲垣足穂を思い浮かべたほどだ。

ずいぶん昔のことだから、ほとんど覚えていないが、確か、足穂に「星を食べた話」とか「ポケットの中の三日月」といったような、星と月のお話があったように思う。ずいぶん清澄な感じがしたように思う。

「一千一秒物語」だったような????

あらためて読んでみるのも悪くないかも知れない。

ともあれ、亜紀彦氏の生きて在る証のような句集だ。

ハナトラノオ↓

ハナトラノオvol.1

| コメント(2)

コメント(2)

  

大井恒行先生

句集『闌春』について記事を書いていただき誠にありがとう
ございます。とても嬉しいことです。

妻にはいつも苦労を掛けております。、

>「お二人は『偕老同穴』」と記しておられるが、
むしろ、それ以上の深い関係ではないかとも思われる。

気恥ずかしくも、ありがたいお言葉です。

>亜紀彦氏の生きて在る証のような句集だ。

本当に感謝の念に堪えません!

コメントする