2012年10月 3日

久松久子句集『松の尾』・・・

『松の尾』

   神の縁句の縁深く初詣     久子

巻尾の句、その神社が松尾大社。

「あとがき」の冒頭に「阪急嵐山線の松尾駅に降り立つと、正面の大鳥居がゆったりとした風情で迎えてくれる」という。そして、

  鳥居を潜った私は、二ノ井の石橋で必ず佇み、暫く流れに見入る。神域から流れ落ちる水音に禊を受 

 け、俳人としての欲が洗われて無心になり、心が鎮まってゆく。ここで生まれた句は作るいうより授か

 った句だと感じざるを得ない。

と、記す。つまり、この句集一本すべての俳句が句集名にあるように、松尾大社に奉げられているのである。

それは、傘寿の記念でもある。表紙絵も松の尾の古地図であり、本文中に納められた写真も松尾大社からの提供であり、画も女神の神影と磐座の滝を描いたものだ。

 松尾の山頂の巨石磐座から湧く霊水は亀の水として醸造業の守り神として信仰されている。茨城県の実家が「亀甲鳳」という醤油の蔵元だったというから縁も深いのである。

句はいずれも清澄の趣を湛えている。

    勅額の金泥光る青葉風

    山笑ふ亀の口より水湧きぬ

    酒樽に預けておきぬ梅雨の傘

    神称へ水を讃へて小鳥くる

    予後の身に月見の酒の沁みゆけり

    月に舞ふ袍衣の金糸銀糸かな

    参道を抜ける間の初時雨

    大絵馬を真正面に年用意

キキョウ↓

キキョウvol.1

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