2012年10月18日

渡邊たけし句集『野仏』・・・

句集『野仏』vol.1

 句集名は、

     笹鳴や野仏おはすどんづまり      たけし

から、洛北野仏庵での句だそうだ。

序文は実に懇切で、かつ師情あふれる玉文で加古宗也氏の手になる。

     灸花六七十は青二才

     人は皆塞翁が馬菜の花忌

菜の花忌は、司馬遼太郎の忌日で2月12日、司馬の『街道を行く』の挿絵を描いたのが須田剋太で「六七十は青二才」という言葉を好んだらしい。

 妻の看病の句が胸を打つ。

    看取りとは贖罪に似て花ざくろ

    吾亦紅ともに過ごすを忘れゐし

    回診に妻の御慶はじやんけんぽん

    看る人に妻のあかんべ鬼やらひ

    朝顔や妻の爪切る縁の先

    鳥渡る妻の訊ねる空の丈

 そのほかにも、切ない句がある。

     甘えっ子の妹逝く

    美しき骨かさりと音をたてて冬 

     妹に次いで兄逝く

    また一人離(か)る備後路の月白に

    ふるさとやふと栗打ちの兄の声

そうしたなかでも、いわゆる俳味のある句があり、ほっとする。

    幼な子に少し法螺ふく橋涼み

    男郎花侠気のどこか痩せ我慢

    恐妻家愛妻を言ふ黍嵐

    齢なみですと言はれても芥子坊主

そのほか、たけし氏の心情のはっきりした句をいくつか挙げて、筆を置く。

    バンコク    ワイ=合掌

    ワイされてワイ軽くして風凉し

    食通は待つを楽しみ走り蕎麦

    爆死せし乙女が碑文虎が雨

    立志すでに死語となりしや春北斗 

大野鵠士 大垣vol.5

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本日(11月15日)の読売朝刊の「四季」コーナーに渡邊先生の俳句が掲載されておりました。この「四季」は毎日の連載で作品と作者の方の出自などをスクラップしております。渡辺先生の出自・お歳などお教えいただけないでしょうか。

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