2013年1月 7日

鳥井保和句集『星天』・・・

句集『星天』

 鳥井保和は山口誓子晩年の弟子である。

 誓子が朝日俳壇の選者として、また「天狼」の東京句会指導のための新幹線の往復で富士山を詠んだのは有名だが、鳥井保和も仕事で毎週新幹線往復を繰り返していたという。

 その成果が、評論「誓子の昨句工房ー新幹線の速の座にー」であり、平成10年第四回俳句界評論賞(当時は北溟社)を受賞している。

   遠星の一等潤む誓子の忌        保和

 この遠星は、自ら仰ぎ見る星であり、より具体的に言えば、戦後俳句に綺羅星のごとく、優れた俳人を送り出した「天狼」の「遠星集」にほかならないだろう。しかも、その数々の一等星は、誓子の忌(3月26日)に潤んでいるように見えるのだ。

 天狼星(シリウス)は、おおいぬ座の首星にして、冬の南天にもっとも明るく輝く星であり、オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンとともに冬の大三角形をかたちづくる。

 かつて富澤赤黄男は句集『天の狼』をもって俳句史上に輝いたように、戦後俳壇は「遠星集」が魅力ある俳人を次々と輩出していた。例えば、小川双々子、津田清子、橋本美代子、堀井春一郎、八田木枯、もちろん、創刊同人は西東三鬼、波止影夫、孝橋謙二、三谷昭、高屋窓秋、山口波津女、その後の根源俳句を推進した永田耕衣、また、加藤かけい、右城暮石、神田秀夫、澤木欣一、細見綾子、平畑静塔、秋元不死男、横山白虹などなど、挙げればきりがない巨星ばかりである。

 それら誓子山脈の一つに鳥井保和がいる。

 本句集に、丁寧な跋文を寄せている坂口昌弘、光に焦点をあてて解読したのも慧眼であろう。

 これ以上、屋上屋を重ねる無粋はしたくないので、愚生は、いささか誓子調を脱していると思われる佳吟、しかも、愚生の好みの句を以下に上げておきたい。

    朝酒も寝酒もしては三日かな

    底ひより泡また一つ水温む

    真清水のひかりの底に噴き上ぐる

    大粒も大粒屋久の大夕立

    遠目にも白き一筋夜の瀑布

    朝酒を笑うて三日戴けり

その他、それぞれ、「星雲」の一周年、二周年、

   星雲の荒星一つづつ光る

   どの枝も天をひた指す梅真白

また、

   川挟みゐて揚雲雀落雲雀

も捨てがたい。

 年譜を見ると、実業もさることながら、俳句関係の仕事も多いようである。俳壇的には、まだ若く、期待が大きい俳人の証左でろう。

残るザクロの実↓

ザクロの実

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