2013年3月 4日

花森こま編『君住む街角』・・・

『君住む街角』vol.1

 タイトル脇に「俳句・短歌・川柳合同アンソロジー」とある。

つまり、花森こまが発行人をつとめる個人誌 「逸」に参加したそれぞれのジャンルの作家たちのアンソロジー30句(首)+花森こまによる小作家論という体裁である(小作家論はいずれも愛情にあふれた正鵠を射た手ごたえがある)。

いわば、花森こまのメガネに適った作家たちということになろうか。

因みに、二句(首)ずつ紹介する。

    まろうど来右手に虹を飼い馴らし      五十嵐進「雷帝へ」

    海として人類染まる夕陽アフリカ

    現代ト書き野遊びに出でにけり      五十嵐秀彦「駅前天使」

    日脚伸ぶ駅前天使禁猟区  

    京言葉になる女学生春立ちぬ      石原明「夜光時計」  

    信じてと必死に動く海鼠かな

    初夢を執事に聞かせたく目覚む     石原ユキオ「ロココごころ」

    闇汁にブーケガルニを投げ入れな

    一峰(ひとお)越え師よ垂直の蛇はいる 木戸葉三「常景」

    皇国のなんでこの世のゆび鳴らす

    東洲斎写楽身体髪膚秋         小島ノブヨシ「私雨」

    龍の玉十五少年漂流記

    春愁ひ性病に関しては処女      澤田 澪「服従の思春期」

    生が終ふ死が終ふガーベラがきれい 

    音立てて玉葱太るドライアイ      杉山あけみ「一度きり」

    踝のすとんと暮れし神集い

    髪にすゝき挿し添へ旅のやどり哉   竹邑くしひ「パプノティコンの夜」

    焚火離るる我に珈琲もう一杯

    蝉たちよお前ら永遠に生き伸びて死ぬのは僕と僕ばかりの夏

                           仲 青「41歳の夏休み」 

    廃校になった全ての教室の落書きを消しにいく旅にゆく

    初心者だから蒟蒻を食べている    楢崎進弘「千鳥饅頭」

    水無月の泣き泣き食べる千鳥饅頭

    信号を待てばうしろで声がして振り向くことの恐ろしくもある

                          楢崎進弘「雨降れば冬瓜に」

    冬瓜に囲まれて身動きとれずあっと言う間の夏の桟橋

    老いらくの恋のエリマキトカゲかな    渡辺隆夫「老いらくの」

    老いらくのラブ・イズ・オーバーの春之雪

    如月を夢の中でも抱きしめる       花森こま「無音霊歌」

    冬薔薇に父の体温のこりけり   

『銀河の恋人』(2005年)

  花森こまには、以前にも弊社から句集『銀河の恋人』(2005年)を出させていただいている。

 その句集は川柳から俳句に表現ジャンルを変え、永田耕衣に師事し、阪神淡路大震災に被災してから10年の歳月を閲して刊行された句集であった。跋文に和田悟朗、藤原龍一郎を配しての一巻であった。

 開巻頭の句は、

    一月十七日花びらを飲み干す          こま   

である。   

 アンソロジーも句集もいずれも花森こまの表現行為を培ってきた「逸」が生みだした作群ということになるだろう。

モミジバスズカケ↓  

モミジバスズカケvol.1

モミジバスズカケvol.2

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