2013年3月11日

羽村美和子句集『堕天使の羽』・・・

句集『堕天使の羽』

 句集名は、

    すいかずら堕天使の羽干してある     美和子

の句からである。

岸本マチ子氏の帯文には次のように記してある。

   永遠の恋人

   詩魔を追い求め

   黄昏のぶらんこに

   乗り続ける堕天使

   すいかずらに

   干したのははたして

   その羽だったのだろうか

   それとも言葉(ことのは)?

   あゝ 寒夕焼が燃える

   燃える

 見事な惹句で、実は、小生の解説のタイトルは「永遠の恋人・詩魔」をつけたように思うが、この岸本氏の帯とあまりに近くなりすぎるということで、あっさり小生の解説からタイトルは外された(恨んではイマセン)。

羽村美和子句集についての批評は、句集巻末の小生の解説をお読みいただければありがたい。

従って、このブログにはもう少し俳句作品でない部分にアトランダムに触れさせていただきたい。

 羽村美和子は山口県柳井市生まれ。

 ということは、小生も生まれは山口県なので同郷のよしみということになる(じつはそのことは、解説を書く段になるまで全く失念していた)。

そして、彼女は、小生も所属する同人誌「豈」の仲間である(ライバルにして同志・・)。また、「WA」(代表・岸本マチ子)と連衆(代表・谷口慎也)の同人でもある。

さらに彼女は、2001年、「橋」(代表・柳田知常)の同人であった。奇しき因縁といおうか、小生が20歳代の頃、「俳句評論」(代表・高柳重信)の俳句大会で、柳田知常氏の特選(確か「うなずきながらほそいうめきの貝の足 恒行」)を得て知常氏の色紙をいただいたことがある。知常の娘さんが、かつて「豈」同人であった橋本七尾子氏(現在、「円錐」同人)。

美和子氏が「豈」同人になったのは、同じ仲間の中村冬美氏ともども、岸本マチ子氏の紹介に拠っている(実は昔、岸本マチ子氏も「豈」同人であった)。

「橋」は昭和52年に創刊された同人誌で、10年ほど前に終刊しているが、加藤鎮司、津根元潮、新山美津代、橋本輝久、星野昌彦、村田治男、五十嵐研三、上月章など錚々たるメンバーを擁していたように記憶している。

人のつながりとは不思議なものである。

羽村美和子は「橋」解散ののち、第一句集『ローズティー』(2003年、橋の会刊)を携えて「豈」に参加されたのだ。

    ローズティー夕日の匂い別れの匂い

   遠野火や恋は誤作動しはじめる

など、初々しい句が目白押しだが、じつは初めから一句は完成された相貌をもっていた、ように思う。

これは、『堕天使の羽』の解説でも言ったことだが、彼女の初期から一貫してモチーフは繰り返され、追求され続けている。

  話を冒頭の句にもどすと、すいかずらの葉は、蔓に対生しているので、それを堕天使の羽と見立てたのだが、下五「干してある」の断定がいかなる表徴であるのかは、じつは知らされていない。この見立てと機智がないまぜになったところに美和子俳句のもうひとつの特徴があると言ってもいい。

今後の詩魔に期待されるべきは堕天使ならぬサタンの羽を呼び込むまで待つ膂力かも知れない。

しばらくしたら、教師の職も辞されるやに聞いているので(少し早い定年かも・・)、現実的なくびきから解き放たれて、ますます自由に、俳句作品の創造に取り組まれるに違いない。さらに、今後が期待される俳人なのである。

       裏庭はジュラ紀の匂い春の雨

       後の月化石はすでに熱を持ち

       虎落笛次は16ビートで来い

       春の夜の恐竜図鑑開いている

       土になる骨水になる白丁花

       久女の忌飛べない鳥を飼っている

       方舟に花野の風も乗せて下さい

       天窓から月の梯子が降りてくる

       面(おもて)の眼覗けば春の深い闇

カタクリ↓

カタクリvol.1

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コメント(2)

  

片栗の花がもう咲いたのですね。可愛い花です。

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