2013年4月12日

髙橋句美子句集『手袋の色』・・・

髙橋句美子句集『手袋の色』vol.1

 『手袋の色』は、「花冠」30周年記念事業の一つとして、また、句美子氏の三十歳を記念して上梓された句集である。句集名は、

      手袋の色いろいろに編んでゆく     句美子

序句は父の髙橋信之氏、「一九八三句美子誕生、主宰誌「花冠」創刊の二日後であった」の前書が付されている。

      女児誕生白萩の白咲ける日に      信之

 跋文は、母・髙橋正子氏。両親に花を飾られての幸せな旅立ちの句集と言えよう。跋にも述べられているが「平明で、軽やかである。口語を多く使ってやや散文的であることに特徴がある」ので、句意が不明な書き損じがなく、句を読めばその情景は自ずから見えてくる。この率直な句作は、4歳で句を作ったという頃から、根本的に変わっていない。変遷があるとすれば、「句歴二十五年といえば、それなりの歳月を経て、成長が見られる」(跋)ということである。 

また、誕生した娘に「句美子」という命名をなすなど、ご両親の願いが籠もった、およそ俳句を創造することなしには、道がないような定めを負った名であることか。

 それにしても驚きは、松山幼稚園時代四歳のときに口ずさんだという、

     すいとうはおもいな あせをかいちゃった

     くみちゃんがたべたすいかのくろいたね

それからは

    つくしんぼまだまだねむい草の中        小学一年(おーいお茶新俳句大賞佳作)

    ごちそうにさくらの花びらふってくる         小学三年(第23回全国学生俳句大会入選)

    スケート場整備をされて鏡の国             小学六年(第26回全国学俳句大会佳作)

    朝顔のラッパで工事がはじまった           中学一年(第27回全国学生俳句大会入選)

    想像をふくらませる春の船                中学二年(第28回全国学生俳句大会佳作)

    旅立ちの車窓斜めに花ふぶき             大学四年(第36回全国学生俳句大会入選)

  などの輝かしい俳句大会での成績が残されている。

 30歳、昔でいえば而立。今後は、さらに人生の襞を深くされて、文学という、俳句の薬味を付加されれば、さらに深く、広い味わいの句の誕生が期待できるのではないだろうか。

最後に感銘句のなかからいくつかを上げて餞としたいと思う。

    かにになったみたい背中が日焼けてる        小学五年

    夏海の貝殻ふたつ手に握り

    寒雀みなまんまるくみな啄む

    店先の春のショールに人が触れ

    野あざみの蜜に飛び来て秋の蜂   

磐井・羽村と青木の花vol.5

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