2013年5月23日

青柳志解樹句集『里山』・・・

青柳志解樹句集『里山』

     里山の朝のひかりは木の芽より  志解樹

『里山』は青柳志解樹の第13句集である。

平成19年2月から21年12月までの三百句を収める。

「里山」の命名は、

  「里山」ほど気の休まるところは、私にはない。

という著者「あとがき」にあるとおり、「いっそ東京を捨てて、この山国の自然に抱かれた暮らしがしてみたい」とも記されている。

   花杏信濃森林(もりむら)昏れ知らず   

「森林」を「もりむら」と読ませるなどは手が込んでいる。

   打ち揃ひたるはくれんの蕾かな

   うららかや子豚十頭さくらいろ

   初蝶を海の光がさらひたる

   水が水追うて三月来たりけり

   老鶯は京子京子と囃しけり

     岩手・宮城内陸地震  

   生れたる蝉にも余震ありにけり

   チユンチユン雀チョンチョン雀台風過

 など、佳句、秀句、さらに俳諧味のある句などまさに自在な境地を感じさせる。  

   晴女来る家持の桃の花

 「家持の桃の花」というのもなかなか味わい深い。大伴家持は万葉集の成立に深く関わったとされる人物で、万葉集中の歌数も多い。桃の花は「春の苑(その) 紅(くれなゐ)にほふ桃の花、下照る道に 出で立つ娘子(をとめ)」を踏まえており、「晴女」は「娘子」でもあろう。

   山法師咲く牧水の越えし山

の句も、前句に倣えば、牧水の高名な歌「幾山河(いくやまかは)越えさり行かば寂しさのはてなむ國ぞ今日も旅ゆく」を思い起す。

 牧水と言えば酒の歌も忘れられない(愚生のごとき下戸にしても・・だ)。

「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり」・・・。

しかし、青柳志解樹も酒仙に近い。本句集も捨てがたい酒のの句が目白押しである。

   信濃小梅の塩漬カリと酒を欲る 

    白川郷どぶろく祭

   祭終ればどぶろくを持てあます

   年酒酌む大黒柱いまもあり

   透きとほる酒なみなみと霜夜かな

   灯火親し即ち酒を酌みにけ

  極めつけは、

   島田宿おんな泣かせといふ新酒    

「おんな泣かせ」の蔵元は静岡・島田市の大村屋酒造場(天保3年創業)。女性の方にお勧めの逸品らしい。

十薬↓

十薬vol.1

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