2013年7月 9日

浅川走帆句集『朴の花』・・・

浅川走帆句集vol.1

 句集名は「あとがき」によると、自らが住職をつとめる「秋月竹地蔵院内の朴の木に因る」ものだそうだが、集中にも「朴の花」を詠んだ句がある。

    のぼる風ばかりが見えて朴の花     走帆

    花朴に神より下りて来たりけり

 帯の文と句の抄出は星野椿(「玉藻」主宰)、栞文には星野高士(「玉藻」副主宰)が、愛情あふれる筆さばきで著者・浅川走帆の句と人柄を語ってあますところがない。

また、選句は伊藤通明(「白桃」主宰)がされたという。

少し横道にそれたような感じになるかも知れないが、次の句、

   無尽蔵なる大阿蘇の秋晴よ

   顔だけが寒がつてゐるだけのこと

 などには、星野高士氏への挨拶も含まれているような気さえするのだ。

 というのも、星野氏には『無尽蔵』という句集も、また『顔』という句集もあり、九州男児・浅川走帆をいくどもたずねられたようだし、また、鎌倉にも浅川氏はたびたび訪れているようである。

星野高士氏の『顔』の句は、

    乾鮭や顔半分は無表情      高士

 その無表情なる顔半分もただ、「寒がつてゐるだけのこと」と思えば、おのずと俳諧的な気分も生じてこようというもの、趣は深くなる。

 ともあれ、最後に、印象に残った多くの句から、少しばかりあげておきたい。

   宛名などあらう筈なき落し文

   移りたる蝉は一から鳴きはじむ

   立子忌の大きな時計古時計

   百幹の竹の朧にかぐや姫

   水引の花のどこかで結びたく

   四人とは華やぐ家族シクラメン

   下知ありしかに落ちてゐし榠樝かな

   簡単にいふが出水の後始末

浅川走帆句集vol.2

| コメント(0)

コメントする