2013年7月16日

梅村すみを句集『欠伸』・・・

句集『欠伸』vol.1

 『欠伸』は梅村すみを氏の『灘』『冬麗』に次ぐ第三句集。平成13年~24年までの句業が収められている。

句集「あとがき」によると師・能村登四郎を失ってからの歳月、約12年を閲している。

句集名『欠伸』は集中の、

   欠伸してさて何をせむ小春凪     すみを

の句からと思われるが、「あまり深い意味はない。集中に欠伸の句はあるけれど、その句にこだわりは無い。欠伸の出る時のような肩の力の抜けた自然体になんとなく憧れを覚えていたから。ただそれだけのこと」(「あとがき」)と言う。

著者は、大正15年生まれ、だから87歳。山口県生まれ。現在宇部市にお住まいで本名は、純郎。「沖」同人にして、俳人協会幹事。

句集には、能村登四郎師を思う句、さらに妻をほほえましく詠んだ句、また、お酒が好きな御仁らしく、酒に関するする句など、自在な境地を思わせるが、さすがに師への追慕は心をうつ。

   寒月や師に滄浪の句のありし

   師の忌来てむらさき淡し花樗

   飄々の師の歩を思ふ花野かな

   登四郎亡しぬすびと萩は実となりて

   師の句碑へ天降るさくら紅葉かな

   かつて師と訪めし深吉野草紅葉

      国東

   師の句碑の天蓋となれ薄紅葉

   師の好みし花の一つやほたるぶくろ

 妻を詠んだ句もどことなく温かみのあるものばかり。きっと夫唱婦随なのではなかろうか。

   降り立ちて軽き二三歩夫婦鶴

   なにゆゑの妻の不機嫌捩り花

   妻の掌にありて折れ葱にほひけり

   とんちんかんな妻の返事や日の盛

   霜の朝妻なんとなく若く見ゆ

   向かうから来るは妻らし街小春

   スイートピー妻より欠伸もらひけり

   昼寝妻ちよつと跨いで通りけり

巻尾の酒の句にも趣がある。

  酒の句のめつきり減りし年送る

  冷やされてスモーク壜の吟醸酒

  泡盛をオンザロックに夏の月

  炬燵酒肴はそこらのものでよし

  ワイングラス磨いて秋を深めけり

  一合の酒にて足らふちやんちやんこ

いずれも、著者の幸せそうな顔が思い浮かべられる酒にまつわる句だ。

ともあれ、集中の感銘深い秀吟を最後にあげさせていただきたい。

  蚊を打つてわが痩せ脛をいとしめり

  雪だるま星降る夜には歩くやも

  日々好日日々是余生花飄

  鶴唳や残月凍つるあたりより

シンチジリ↓

シンチジリvol.3

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