2013年7月30日

小寺篤子句集『薔薇の風』・・・

句集『薔薇の風』vol.1

 句集名は次の句から、   

     薔薇の風薔薇の香りの日曜日   篤子

昭和56年から平成25年春までの「沙羅」(後の津田清子主宰「圭」)、「玉梓」(名村早智子主宰)その他に発表した千四百余句のなかから三六〇句を選んだという。三十数年の句業がまとめられているのだ。

平成18年の「玉梓」創刊時からの編集長を務めている。

句集序文は、主宰にして同志ともいうべき名村早智子の信頼と愛情溢れる懇切を極める。その結びに「篤子さんと私は同い年、団塊の世代を生きてきた。これからの篤子さんがどういう世界を切り開いていかれるのか、わくわくしながらも、共に歩んでいけることを願うばかりである」と期待する気持が表れている。

     縄跳びの輪の中蝶も入れて跳ぶ

    藤房に飛び付き姉妹背くらべ

    行書の「妙」楷書の「法」や大文字

    新樹光坐すに程良き標石

    壁炉燃ゆ火種は夜も残りゐて

 叙された光景に、素直に著者の心情が寄り添っている、といえよう。

ただ、団塊の世代というからには、社会的事象を詠んだ句がいくばくかはあろうか、と推測したが、さにあらず、明確にそれが表現されたのは次の一句のみであった。

    案山子立つ背なに原発阻止の札

 これは、

   肝心なことは言はずや水の秋

のなせるわざであろうか。それでも、子や孫の未来を思えば、無くていいものがあるのだ、ということを実に控えめに「案山子の背な」に託している。

   祇園祭さへもうとまし母逝きて

   きみの汗きみの命として光る

   もう五年いやまだ五年烏瓜

   燃え上がる気持ち一気に曼珠沙華

やはり、絶唱は次の句だろうか。

  風花や手に載るまでに風になる

エリカ↓

エリカ

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