2013年9月13日

田代早苗句歌集『今のうち』・・・

田代早苗句歌集『今のうち』vol.1

句集名は次の句から、

    百舌叫ぶ生きてゐるうち今のうち    早苗

エッセイ、短歌、俳句、そして孫の田村望恵(もえ)の「ランドセル」という2~12歳までの約150余句が収録されている(表紙挿画も)。「望恵の小学校の卒業記念を兼ねて」(あとがき)のご合同句集でもある。

句集「前書きに代えて」のエッセイ「届かなかった手紙」には次のように認められている。

  思えばば脳梗塞でぶっ倒れた四年前に、我が人生劇場の幕は静かに降りる筈でした。神の気 

 まぐれか、まだ一幕肺がんというシナリオが残されていたのは意外でした。自分でもおかしいの

 ですが、なぜか急に死ぬのがいやになりました。こうなればとことん闘いたくなりました。

田代早苗の短歌は独学のようだが、俳句は波多野爽波に師事したのちは、現在は「童子」門下である。

   はからずも後に残さる世渡りの下手なる夫の行く末案ず

   老父母の介護の為に戻り来し宿命(さだめ)哀しき娘明子よ

   もう望恵に逢へぬ日近し只それが耐へがたきほど胸ゑぐらるる

   ごきぶりも人も命はひとつにて殺さず逃がす夜の厨に

   もうこれが泳ぎをさめと思ひつつあふれる涙潜りて隠す

   面会を拒絶つづけるかたくなな我を許せよ親戚知人

   取り入れて洗濯物を丹念に畳むが夫の日課となりぬ

   意外にも冷静に聞く脳転移いよいよこれより正念場となる

   卒業の記念の句集急がねば頭と体まだ動くうち

陳べる形式の短歌はそれだけで、作者の想いをよく伝えている。また、著者の作句歴が長く、断念の形式とも言われる俳句の作品を以下に上げるが、これもまた、見事な達成ぶりである。

   師爽波に見せたき句あり金魚玉

「金魚玉」といえば、当然ながら爽波「金魚玉とり落としなば舗道の花」を踏まえていよう。

   朝寝してついでに昼寝致しけり

   生きてゐる証のふとん干しにけり

   句に命かけてどうする麦の秋

   辞世の句山ほど出来て年の暮

   読み耽る尚毅の本や裕明忌

孫の田代望恵は、平成13年生まれ、20年「童子」に入会し、すでに7年が経つ。その孫に「たった一人の我が弟子・望恵に引き継ぐ俳句」(あとがき)として、

   誰よりもかしこくあれよ草萌ゆる

  と詠んでいる。 その孫・望恵の句を最後に上げさせていただく。

    にじはおそらのすべりだい(平成18、年4~5歳)     もえ

    まめたべてこころのおにをおいだした(平成20年、6~7歳)

    ひまわりのごめんなさいとかれている(平成21年7~8歳)

    ばあちゃんにたのまれて切る後ろがみ(平成25年、11~12歳)

    来年の春はお別れランドセル(   〃     )

ニラ↓

田代早苗句歌集『今のうち』vol.2

| コメント(0)

コメントする