2013年11月18日

岸本マチ子『吉岡禅寺洞の軌跡』・・・

『吉岡禅寺洞の軌跡』vol.1

  天の川この秋の客誰々ぞ     禅寺洞

本書は、岸本マチ子が代表を務める俳誌「WA」に1999(平成11)年6月~2007(平成19)年3月まで8年間連載されたものに加筆修正を施した著作である。氏には、すでに労作で著名な『海の旅-篠原鳳作遠景』の一本もあり、その鳳作を世に送り出した新興俳句の牙城のひとつであった禅寺洞「天の川」のことを執筆するのは、ある意味当然のなりゆき、あるいは運命のようなものだったにちがいない。

そして、この書物が、禅寺洞の軌跡のみならず、いや、むしろ、禅寺洞「天の川」を駆け抜けて行った俊秀の俳人たちに多くの筆を費やしているのが、実に興味深い。それは、愚生がこれまで、不明にして、その俳人の作品も経歴にも暗い作家も収録しているからである。例えば、末吉麦門冬(ばくもんとう)、また、北垣一柿など、そのほか「天の川」を駆け抜けた人々のラインナップは、篠原鳳作、竹下しづの女、杉田久女、日野草城、西東三鬼、芝不器男、内田暮情、神崎縷々、横山白虹、棚橋影草、阪口涯子、片山花御史である。

      月の方へ蔭の方へと踊りけり       麦門冬

      落日が子等の手足をよごしたる      一柿

      昏き夜ぞ琥珀のチェロのはじかれし   影草

終章は「口語俳句の未来へ」と題して、禅寺洞(銀漢亭)の辞世の句をあげている。1961(昭和36)年3月17日、亨年73、の生涯だった。

      季節の歯車を

      早くまわせ

      スイートピーを まいてくれ      禅寺洞

サザンカ↓

サザンカvol.2

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